アランフェス協奏曲(CONCERTO)/JIM HALL
寒い月曜日となりそうです。週末もっぱらターンテーブルに載せていたのはジム・ホールの傑作アルバム、アランフェス協奏曲です。CDでは随分前から聴いていますが最高傑作と評価する人も多いこのアルバム。レコードは去年の初夏に購入していますが真新しく聞く訳でないので実は数回聞い後はしまっていました。ちょっとプチノイズがでるなぁーと思いながらも好きなジムの名盤なのでレコードでAランクでしかも1000円以下だったので購入するべき1枚としておさえておきました。今回、レコード盤と針を改めてきれいにクリーニングして聞いてみると不思議と音質が良くなっている気がしました。理由はよくわかりませんレコードもきれいにしてあげることが必要なのだと... あまりにも印象が異なるのでちょっと嬉しくなりました。曲目はわずか4曲。
Side 1
You'd Be So Nice To Come Home To
Two's Blues
The Answer Is Yes
Side 2
Concerto de Aranjuez
このアルバム何と言ってもメンバーが豪華。
ローランド・ハナ(ピアノ)
ロン・カーター(ベース)
スティーブ・ガット(ドラムス)
チェット・ベイカー(トランペット)
ポール・デスモンド(アルト・サックス)
ドン・セベスキー(編曲-アランフェス協奏曲)
アランフェス協奏曲はマイルズ・デイビスとギル・エヴァンスも取り上げていますがこれとはまた違った趣で素直に音楽的なアレンジとしてこのアルバムの方が好きです。チェット・ベイカーの円熟した演奏とポール・デスモンドの何時もながら渋い。しかし、このアルバムこれだけのメンバーを揃えて悪くなるはずもないといったところでもあります。
ライナーノーツ(岩浪洋三氏)に記されているのですがアルバムがリリースされた1975年あたりの時代は再び情緒的なジャズが評価され数々のベテランギタリスト、タル・ファーロウ、ジミー・レイニー、チャック・ウエイン、ジョー・ヒューマらがカムバック、そしてバーニー・ケッセル、ハーブ・エリス。ジョー・パス、マンデル・ロウらも安定した人気でジム・ホールもその例外ではなかったようです。
このアルバムですがどうしてもラストを飾る名演、"アランフェス協奏曲"に尽きる感はありますがレコードはSide1となるその大作の前の3曲が実はなかなか味わいの深い名演だと思います。ジム・ホールのリーダーアルバムですがしつこいですがチェット・ベイカー、ポール・デスモンド、ロナルド・ハナらの名演がなくてはここまでの完成度に至らなかった気がします。
間違いなくこのアルバムは当時のCTIレコードが目的としたジャズの大衆化、のちのフュージョンに行き着くとも言えるのですが、所謂、聴きやすいジャズを広めることに貢献した1枚と言えるのではないでしょうか。反対にビバップ的なジャズがお好みの方にとってはこの種のCTIの音楽性に全く迎合できないこともちょっと理解できますが... これはいつの時代にも言える"新しいもの"、”変化”に人がどう反応するか?
100人いたら100通りの解釈、好みがあって、それがジャズという音楽の奥行き、逆に難解さなのかもしれません。ウエス・モンゴメリーのポップスをカバーしたのも嫌いではないし50年代のハード・バップといわれたジャズも好きですが最新のものはあまり心に響かない。 ロックだとやはり昔の曲は懐かしいですがたまに聞くだけになってしまいます。
このアルバムの楽曲それぞれのメッセージに何か統一性があるのか?そんな聞き方ではなくジム・ホールと参加した熟練したプレーヤーが作り上げる世界があまり説教くさくなくシンプルに良い音楽を聞くといった楽しみ方を教えてくれているような... 聞き流しても聞き込んでも毎回、結構発見があるような気がします。極めて主観的な部分ではレコード盤の方がピアノ、管楽器の音が丸く柔和な感じがします。CDがダメといオーディオ的な評価ではなく感覚的な部分ですが... なのでレコードで買っておいと良かったと思います。
ではでは明日の朝は足元に気をつけたいものです。