レコードをめぐる冒険 (Night and Day/Stan Getz)
こんにちはYamataiです。
サックスプレイヤーでコルトレーンと並んで有名なのがスタン・ゲッツですが村上春樹氏も絶賛していることもよく知られています。
個人的には スタン・ゲッツのレコードはなかなか縁がなく唯一、手元にあるのがこちらです。
Verveからリリースされたアルバムのようですがこのレコード、なんと300円でランクAの割に安いので購入しましたが裏面にはスペイン語で解説されています。
曲目は
CARA A (A面ということでしょう)
1. Body abd Seoul
2. Stella by Stralight
3. Down by The Syamore
4. Pernod
5. Our Love Is Here To Sray
6. Pennies from Heaven
CARA B
1. Night and Day
2. But Beautiful
3. Funkallero
4. Melinda
このアルバムが凄いのは何気にOecar Peterson、Herb Ellis、Bill Evans、Ron Carter、Elvin Jonesが参加しているところです。このアルバムの出自を調べましたが情報が少なくMaestros del Jazzとうシリーズでリリースされた編集盤のようです。どうりで安かったわけです。スタン・ゲッツの1952年、54年、55年、64年の名演をまとめて1枚にしたお気軽スタン・ゲット入門盤みたいな成り立ちが想像できます。
しかし負け惜しみではないのですがどの曲も名演でスタン・ゲッツの魅力を簡単に感じ取る事ができます。そいった意味でこの編集盤の企画は成功していると思いますが...
Stan Getz深掘りしたいのですがレコードが中々、高値で推移していてマイルス、エヴァンスあたりに近いような気もしますが中々、買えません。あとチェット・ベーカーとかの中古レコードも中々、高値な印象があります。
村上氏の言葉を借りるならば、"そう、ゲッツの音楽の中心にあるのは、輝かしい黄金のメロディーだった。どのような熱いアドリブをアップテンポで繰り広げているときも、そこにはナチュラルにして潤沢な歌があった。"(Portrait in Jazz, P44, 新潮文庫)
村上氏がこれほどにも絶賛するアーティストでありながら私生活はひどく荒れていたようです。その荒れ方とは言葉では尽くせないほどのトラブル続くで人間性をも疑われるものを多々あったようですが... しかしその反動が見事に音楽で生かされているのであれば良しとしようと思う人も多いのでしょう...
個人的には地味で職人的なアーティスト、アート・ファーマー、ジム・ホール、デューク・ジョーダン、ポール・デスモンドあたりが好みでありますがやはり神格化されているマイルズ、コルトレーン、エヴァンス、そしてスタン・ゲッツあたりの音楽は強く揺さぶられるものがあるのも確かではあります。
中々奥深いスタン・ゲッツ、今年後半はちょっと深掘りしてみようかと思っています。
レコードをめぐる冒険 (johnny smith)
こんにちはYamataiです。
今週はちょっと早めの夏休みで1泊旅行に出かけました。
近場の箱根ですが無性にギターの音を聴きたくなりました。
便利なもので出先でもApple Musicではこれといった一曲を選べるのが良いですが天才的な若手ジャズギタリスト、Julian Lage(ジュリアン・ラージ)やBill Friesel(ビル・フリーゼル)を聞いていましたが、家に戻ると無性にJonny Smithが聴きたくなりました。何ででしょうか?
取り出したのがタイトルもjohnny smith。これは1967年のアルバムでVerbレコードに移籍した第一弾のアルバムです。ジャッケットにあるギターは彼のシグネチャーモデルでギブソンが製作しものだそうです。レコードは今年春くらいに御茶ノ水のDisk UnionでAランクのものを運よく見つけ購入しました。
曲目は...
SIDE A
1. Memories of You
2. Manha De Carnical (Morning of The Carnical)
3. Here's that Rainy Day
4. Spring Can Really Han You Up The Most
SIDE B
1. The Shadow of Your Smile
2. Michelle
3. My Favorite Things
4. Golded Earings
5. On A Clear Day
6. The Girl From Ipanema
お気づきかと思いますがビートルズの有名な楽曲、Yesterday、Michaelle、あとはイパネマの娘、Here's That Raindy Dayなどメジャーなジャズスタンダード曲となんとも抜け目のない選曲であります。名曲を名ギタリスト、Johnny Smithが美しく奏でピアノのハンク・ジョーンズとの相性もかなり良い感じであります。
実は購入後はあまり聞いていませんでした。こじんまりとまとめられた有名な曲を演奏しているだなぁーと...... なんか退屈な気がしてしまったのが理由です。Johnny Smithですが基本的に原曲に忠実であまり冗長的なソロなどはキャリアのうちでも数少なく、このアルバムでは全11曲のうち9曲は3分以内であります。
ライナーノーツを読むと彼がインプロヴィゼイションよりオリジナル曲を大切にし作者の意図のアレンジに徹していたようです。それが彼の美学でもあり磨き抜いた音楽描写を目指していたギタリストであったようです。
50~60年代に活躍しながらがで70年代のジャズギターブームの時代には作品を発表すらしなかったようです。音楽は彼の人生でありながらも音楽産業には一線を引きコントロールされることを許さなかったのが理由とも言えますが本当の意味でギターの神様なのかもしれません。
決してインプロヴィゼイションとかすごいと思う反面、ちょっと聞いてて疲れる時も正直あります。おそらく疲れている時だったり... やはり聞き手の集中力も要求するんですかね...
多分旅行帰りの疲れに無意識にJonny Smithのスタイルのちょっと美しい音色のギターを聴きたくなったのかもしれません。
彼のテクニックはジョージ・ベンソンやパット・マルティーノなど後世のギタリストに随分影響を与えたましたがその凄さを前面に押し出さない奥ゆかしさがちょっと職人的でここにきて私にもわかるようになった気がします(テクニックでなく音楽的な良さという意味です)。
彼のレコード、集めてみたくなりましたがこのアルバム以外はそれほど見かけないような気がしています。となるとCDでも良いので欲しい... いやApple Musicで我慢するか思案しどころです。
CDをめぐる冒険(Italian Graffiti/Nick Decaro)
こんにちはYamataiです。
夏生まれですが加齢ととも夏嫌いが進む一方です。最近は冷えたビールも控えています...
さて久しぶりのCDのお話であります。
しかもAORです。AORってくくり方がどうも今となってはしっくりこない気がしますが... 60−70年代にロックを聴いた世代が少し大人になってから聞くソフトでメローなロックとでもいうようなくくりでしょうか?でポップスとどう違うのかと言われると全然わかりません。
個人的にはこのジャンル、30年も前となりますが大学生以降、よく聞いていたというか聞き流していました。昔のデートの定番はドライブでそのときかける音楽となるとこの手のものです。そうです... 初デートの時にいくら好きだらと言ってクラプトンとかジミヘンをかけるのはリスクが高いと感じていました。
AORのお気に入りといえば...
ボズ・スキャグズ、ネッド・ドヒニー、ビル・ラバウンティーあたりですか?
実はその気になればバリー・マニロー、エア・サプライ、エリック・カルメンあたりもイケる口です。J-Popではブレッド&バター、山本達彦、当然、山下達郎あたり好きです。来生たかお好きです。あとポール・デイビスとかもそうですかね...
さてさてこのニック・デカロの作品、Italian GraffitiですがAORの始祖的な名盤として高く評価する人が多いです。ジャンルはともかく私もこのCDだけは長年、愛聴しています。裏を返せば年を取っても聞ける... と言ってネック・デカロを深掘りするほど他の作品を聴いてはいません。そうですね... 基本プロデューサー、アレンジャーで自身は寡作の方でありました。
本人は25年前に他界されました。
ジャッケットには本人登場です。凛々しい蝶ネクタイです。
直筆のメッセージとサインは当然、印刷されたものですが...
確かにお気に入りの1枚となりました。
では曲の紹介です。
1. Under The Jamaican Moon
2. Happier Than The Moring Sun
3. Tea for Two
4. All I Want
5. Wailing Wall
6. Angie Girl
7. Getting MIghty Crowded
8. While The City Sleeps
9. Canned Music
10. Tapestry
2、6曲目がステーヴィー・ワンダーのカバーどちらも珠玉のアレンジです。全曲素晴らしいですがあえてランディー・ニューマンのカバーの8曲目とラストのTapestryが好きであります。Tapesryの歌詞に込められた意味が分かりませんが... 訳しただけでは分かりかねる深い意味がある曲なのだと思います。対訳が付いていますが解釈が難しいです。Tapestryとはキャロル・キングの曲(同名異曲ですが)もそうですが、人生を指していたりするのでこのケースもおそらく... この曲の歌詞、ちょっと調べてみたくなります...
このアルバムでオリジナル曲はないのですが全体を通してニック・デカロの世界が構築されていて選曲、アレンジがすごい上手いんだろうと...
しかもうれしいことに全曲本人による曲目解説があり、アルバムの理解が深まります。ニック・デカロ、ライナーノーツ(1991年11月・中田利樹氏)にありますがシティ・ミュージックの先駆けであり、ジャズ、ソウルのエッセンスを加える... がこのアルバムのコンセプトであった.. なるほどポップスとの違いが少しわかったような気がします。
このCD、おそらく残りの人生も定期的に聞くのではないかと... 確信すら持っています、そして無人島に1枚しか持っていけない時の候補になるアルバムであります。
レコードを聴くことについて...
こんにちはYamataiです。
最近ここに至っては音楽鑑賞のカタチですが随分と多様にわたるものです。
例えば...
- 部屋のオーディオプレーヤーでCDを聴く
- 部屋のオーディオプレーヤーでレコードを聴く
- 部屋でiPhoneで音楽を聴く
- 外や電車の中でiPhoneで音楽を聴く
- 車のカーステレオでCDを聴く
- 車のカーステレオでラジオを聴く
- 出先のカフェやレストランでスピーカーから流れる音楽を聴く
- ライブを聴きに行く
他にもあるかもしれませんが思いつくところこんなものかなと思います。
あと飛行機で航空会社が提供している音楽プログラムともありますがこれはあまり積極的に利用しなしので... 微妙です。
本題のレコード鑑賞... 今年突然復活したレコード収集... もっぱら古いJazz系で予算は1000円以下という縛りで決してコレクター的な方向性ではなくもっぱら楽しみを求めてなのですが...
最近レコードを聴いて感じることですが...
ちょっとした労働を要求する...
片面が終わると裏返さなければなりません...
レコードはやはり音楽を聴くということに集中することを要求しているメディアではないかと思ったりします。昔のフォトグラファーが新しいをフィルムを装填するようにレコードをプレーヤーに置いてA面が終われば裏がえす... 聞き終わってジャケットに丁寧にしまい込む。私のレコードプレーヤーは自動でスタートするので針を落とす・戻すといった所作は要求しませんがこれも実は手掛けたくなってきました。
ノイズ
あとプチっとノイズがあると埃や塵を取り除くべく大事に拭き取ったりしますがCDでそんなことしたことないような気がします。そんなこんなでレコードを物理的に労らなければならない気にさせます。プチノイズひょっとして話しかけているのかと思うこともあります。
ライナーノーツ(大抵黄ばんだりシミがついている)
昔は熱心に読まなかった気がしますが。レコードのライナーノーツ、今、読むとなかなか新鮮です。どれも20−30年前のものが多いのですが由井正一さんの解説だったりすると、多くのプレーヤーとの交友も実際あった方のようでリアルな話が綴られていて役に立ちます(なんの役かは判然としませんが)...
レコードを久しぶり聞きようになり何か不思議な気分に浸っています。懐かしいというより新たな発見があるような気がしています。
若い人には全く意味不可解な行為だと思いますが、いや分別のある大人であればそんなこと思い過ごしだとおっしゃるでしょうが... AIだとかIoTとか世の中どんどん進化しているのにレコードに回帰して新しい領域の音楽、私の場合は古いJazzですが... レコードを通して積極的に聞いているのもかなり風変わりではあります。
カセットテープも復活しているらしいですが... 値段が意外と高いのとプレーヤーがあまりないのがネックでしょうか?これからますます古いアイテムが再評価される流れが続くのか?興味深いですが...
あと昔のレコジャケの喫煙率の高さを感じます。そのうち子供に悪影響だとか... 誰か言わないで欲しいものです。あと新譜のレコードも最近あったりしますがどうも食指が動きません。高いのと... んーなんだろう... よっぽど気に入った盤でないと... 中古レコードのコスパにやられてるだけなのかもしれません。
アート・ファーマーのレコード、絶賛買取中です...
レコードをめぐる冒険 (Sing Me Softly of The Blues/The Art Farmer Quartet)
こんにちはYamataiです。
先週の話の続きですが気になっていたレコードをやはり買いました。
タイトルは"ブルースをそっと歌って"... 昔のロバータ・フラッグの"Killing Me Softly with His Song"を思わせるタイトルですが... ブルース(本当はブルーズと発音した方が良いのでしょうが...)をそっと歌うとはちょっと違和感がありますが... どうなんでしょうか?
さて実はレコードでは良い状態のものが見つからないだろうとCDを買ったばかりでした。なんという偶然でしょうか...先週新宿のDisc Unionで見つけてしまいました。CDでも1000円くらいなので両方合わせても2000円もしません。こう考えるとお得ですが... 同じものを買うこともないような気もしますが...
しかしあえてCDのメリットを考えると車の中で聞けること... 特にハードディスクタイプのカーオーディオであれば一度かければハードディスクに書き込むので便利です。最近、車で出かけることがまた増えてきたのでこの点を考えるとCDの利便性は侮れません。
さてこのアルバム、ファーマーの傑作と言われるくらいなので期待して聞きましたが最初なんとなくピンとこなかったのが徐々に聞き入ってしまうようになりました。アート・ファーマーのフリューゲルホーンは本当に好きであります。トランペットの乾いたサウンドと違ってなんかヌメッと叙情的な感じがします。
前作の”スウェーデンから愛を込めて”ではJim Hallとの共演でした。ちなみにこのアルバムはCDで持っていて今回、レコードもBランクですが発掘しましたが1000円越えだったので見送りました。本アルバムではJim Hallからピアノにスティーブ・キューンと言う方が参加しています。ベース、ドラムはスティーブ・スワロー、ビート・ラロッカと前作のリズムセクションと同様でのクアルテットです。
曲目は...
Side A
1. Singe Me Softly of The Blues
2. Ad Infinitum
3. Petotle Belle
Side B
1. Tears
2. I Wanted for You
3. One for Majid
Art FarmerはJim Hallとのコンビネーションが最高だと思っていたました今回のスティーブ・キューンとの共演も中々良い感じです... 少しビル・エヴァンスに似ている感じがします。10歳くらい年下で多少の影響は受けているようですが... ちょっと気にして今後聞いてみたいピアニストであります。
最後の曲、One for Majidで全員がソロをとるのですがそれぞれの個性が分かりやすく感じ取ることができて、本当にJazzって良いものだと感じます。
久しぶりこのアルバムを聞きながらドライブに行きたくなりました。家でなくちょっと静かな空間で夜のドライブぴったりなアルバムだと思ったりしています。
レコードをめぐる冒険 (First Place Again/Paul Desmond)
こんにちはYamataiです。
梅雨明けしてしまったようですが昨日は暑い昼のさなか都心を歩きました。アスファルトから跳ね返される熱にまみれて... 帰り道はよほどビールを飲もうと思いながら新宿の街を歩いていると黒い背景に赤いフォント色の看板を見つけてしまい...
ビールを飲むことを忘れ引き込まれてしまいました。
実は今週2度目です...
前日買うのを控えた盤をやはり抑えておこうと...
レコードを1枚だけ買うつもりの日に限って掘り出し物があったりします。
それがこちら...
タイトルが人文字というのでしょうか?First Place Againとは1958年、59年に続けてプレイボーイ誌恒例のジャズプレイヤー人気投票でアルト・サックス部門で受賞したことからつけられたようです。プレイボーイといっても"週間"でもなく"日本版"ではないのはいい歳した中年男であればお分かりだと...
かの昔のプレイボーイはJazzを聴くことが必須だったのです。故大橋巨泉さんを思い出します。Jazz、ゴルフ、釣り、麻雀???
"プレイボーイ"も死語だと思っていたら最近、New Eraという帽子にそのロゴが使用されていたり... リバイバル?この言葉も懐かしい響きが... なんだかわかりませんが... 若者にこのロゴが新鮮なのか?アーノルドパーマーのロゴも懐かしいですが...
それにしてもプレイボーイのジャズプレーヤー人気投票、アルバムのタイトルにも影響を与えるほどだったのは驚きであります。人気投票というとどうしても私のテイストとかけ離れた結果が出るのであまり気にしたことがありませんが...
話を戻してこのアルバム、やはり買うべきと思い買ったアート・ファーマーのレコードを手にし、1枚だけだと帰りの混んだ電車で折れ曲がってしまうのではないかと無理矢理、もう数枚買う理由をこじつけチラッた覗き込んがPau Desmondのアルバムコーナーから見つけました。実はもう1枚、珍しい彼のアルバムも見つけ合計3枚購入しました。
曲紹介しますと...
Side 1
1.I Get A Kick Out of You(君にこそ心とときめく)
2. For All We Know
3. 2 Degrees East, 3 Degrees West (二度東、三度西)
Side 2
1. Greensleeves
2. You Got to My Head
3. East of The Sun
4. Time After Time
ライナーノーツ(野口久光氏)はPaul Desmondが亡くなった次の年、1978年に書かれたものでアルバム自他は1959年の秋、ニューヨークで録音されています。
選曲の良さ、デスモンド節炸裂の癒しのフレージング、そして気づくとJim Hallのギターが全編、繰り出されているではないですか!!!そうです... Jim Hallがこのアルバムに参加しているのですが買った時は気づかなかったです...
こういうことにすべての運を使い果たしているような気も最近しています。
それにしてもこの2人のコンビ、アート・ファーマー&ジム・ホールとどちらの選びがたいコンビです。
それにしてもJim Hall、組む相手により自在に対応出来る... まるで燻銀のレスラーのようで改めてその偉大さを知りました。昔でいうとボボ・ブラジル的な安心感があります。
それにしても今週は月末なのに散財してしまいました。しかもレコードでは入手しづらい音源をCDでお茶を濁して買ったつもりがレコードで見つかってしまう... 彼女ができたら本命の彼女に告白されるみたいな... そんなことが起こった1週間でありました。
では良い週末を!
レコードをめぐる冒険 (Bumpin'/Wes Montgomery)
こんにちはYamataiです。
このレコード、2ヶ月前ほど春先に良い状態のものを見つけて即買いしました。
Wes Mongomeryはレコード屋さんでは必ずチェックしますが人気もあるようで、なかなか良い状態のものには出会えません。仕方なくApple Musicでよく聞くプレーヤーとなっています。
このアルバムは特にThe Shadow of Your Smileが入っているので是非、欲しかった盤でありました。
この曲、60年代の映画のテーマ曲でアカデミー賞もとった名曲で多くのアーティストにカバーされています。Jazzスタンダードというよりはポップスですかね...
その曲をジャズギターの巨匠、ウエス・モンゴメリーがカバーする意外性と情感たっぷりヴォーカルのように唄うギターに感動します。ある意味ロック系のギタリストとは違う格好良さを感じます。
ウエス・モンゴメリーですが元々はビ・バップスタイルでオクターブ奏法を編み出しアルバム、フルハウスなど不朽の名作などで有名です。実際、最も多くのジャズギタリストに影響を与えたプレーヤーであるとも言われています。
大きな転換期は60年台後半、イージーリスニング路線にシフトした時期です。1967年のA Day in The Life のタイトル曲はご存知ビートルズのサージェントペッパーズに収録されている名曲(アルバムを締めくくる)であります。アルバムは総合チャートの上位に食い込み大成功を収めました。しかし、このアルバムの翌年に43歳で亡くなってしまいます。
この路線変更を当時、ウェス・モンゴメリーがどう感じていたのかは?興味深いところですがYouTubeで当時、彼がTV番組に出演している動画など見てみるとちょっとぺらぺらの記事のスーツを着て演奏しています。少しはにかんでるように見えますが...
このアルバム、The Shadow of Your Smile(日本語タイトルはいそしぎ)を始め良い曲ばかりです。紹介しますと...
Side A
1. Bumpin'
2. Tear It Down
3. A Quiet THing
4. Con Alma
Side B
1. The Shadow of Your Smile (いそしぎ)
2. Mi Cosa
3. Here's That Rainny Day
4. Musty
A1、2、B3が書き下ろしのオリジナル、彼のソングライティングの才能を感じます。ライナーノーツは本田俊夫氏、A2はサンフランシスコでJim Hallと会った時にギタリストにとって指がいかに重要か話した時の流れでできた曲だと説明されています。実に興味深い話ですね...
このアルバムの好き嫌い分かれるところとしてアルバム全編でオーケストラをバックに演奏している点だと感じます。いわゆる正統派のジャズではないので...
しかし70年代以降の正統的なジャズが衰退しソフトジャズ、フュージョンなるセグメントが台頭したことを考えるとこれもこの路線変更後のウエス・モンゴメリーの影響がもたらしたものだと思えます。
個人的には素晴らしいテクニックを持ちウエスの後継者と言われたジョージ・ベンソン、白いスーツにスキャトスタイルのヴォーカルと... もしウェスが長生きしていたらどう思ったのか興味深いです。
ウエス・モンゴメリー、ジム・ホールと並んでジャズギタリストの巨頭とでありますが良い盤あれば躊躇せずに入手したいと思います。