レコードをめぐる冒険

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『祈りの幕が降りる時』 久しぶり映画を見る...

こんにちはYamataiです。

久しぶり映画の話...

阿部寛という俳優... 世代も近いので親近感を感じます。私の知るところでは結婚できない男の桑野信介、テルマエ・ロマエのルシウス、そして加賀恭一郎を演じる"新参者"シリーズと阿部寛以外では考えられないほどの当たり役に恵まれています。いや幸運である以前に役者として相当役作りの没頭したのではないかと思わせる怪演。それが名声に繋がりにここに至っているのだと思います。

 

かつてのメンズノンノという男性ファッション誌のメインモデルとして輝かしいキャリアからスポットライトから遠ざかりながら役者として着実に実績を残し今や日本を代表する俳優と言えるのではないでしょうか... いつもながら思うのですが相当背が高く安易ですが是非、世界的に活躍してほしい俳優の1人です(ハリウッドだけでなくインド映画とか良いのではないか?)

yamatai.hatenablog.jp

ロードショー中の映画の詳細をあまり話すのはよろしくないので極めて個人的な感想は... 小向井文世がなかなか良い味を出しています。松嶋菜々子の父親役ですが人の良さそうで気の弱い... 娘の幸せを一途に願い続ける... 悲しい父親役を演じきっています。また加賀の失踪した母親役の伊藤蘭。息子を思いながらも遠くの地でひっそりと暮らす"訳あり"の女性を演じきっています。あと原発作業員として全国を旅する男役、音尾琢真、登場する間も無く、この男、まずいなと思わせる孤独と屈辱に浸りきった人生から醸し出される邪悪で陰湿な眼光。この作品、ほかにも烏丸せつこ等、脇役がしっかりと演じきっているのが映画としての質を高めています。

 

新参者シリーズでは犯人は決して大悪党ではなく実は弱く普通の人間が犯罪に巻き込まれる... 起こしてします。それが一つのテーマでもあったりします。阿部自身もインタビューでも語るのは

このシリーズには、凶悪犯やテロ犯、猟奇的な犯人は出てこない。そこでは誰もが何かのきっかけで犯罪に走ってしまう。魔が差すとか、そういう人の弱さ・嘘をテーマにしている。

しかしながら少し残念な部分も... TVシリーズに慣れている私には展開が少し早く感じられ、TVドラマで見れる加賀恭一郎が難題にぶつかりながら容疑者にはしつこいほど不躾な聞き取りをおこない、そこから垣間見られる真実につながる手がかりを最後に行き当たる、そのプロセスがもう少しあってもよかったのでは... それを通して人物像が浮き彫りにされる... そんなTVシリーズには存在してた加賀と容疑者の攻防が好きだったりしたのですが...

 

映画ではどうしても型通りの人物像を原作(それが素晴らしいだけに)に沿ってなぞっているだけになってしまっているのではないか... もう少し深掘りできる部分、演出が欲しいと感じたのが正直なところであります。日本映画がどうしても突き抜けていない感が見受けられた作品となってしまっている気がしました。

 

また従兄弟の刑事、松宮修平(溝端淳平)がもう少し加賀に挑むような... そろそろキャリアも積んで成長しているのだからその部分も見たかった気がします。

 

もう一つ失踪した母親(キムラ緑子)を罵倒する松嶋菜々子、その場面は実際はどのような話、言葉で罵られたのか... その場面、見たかった気がしてなりません。映画の中で美人の演出家(そこばかり強調されている気がしました)、松嶋菜々子の影があまり描写されていないのが残念でした。

inorinomaku-movie.jp

残念ながらこの作品がシリーズのフィナーレということで原作も読んでおこうと思います。加賀恭介は捜査一課に戻るようなので新シリーズもあるのかとも推測できますが...

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

 

色々勝手に話しましたがこの映画、ファンであればおすすめですが映画館で見なくても良い気もします。それでは!