レコードをめぐる冒険 (Bumpin'/Wes Montgomery)
こんにちはYamataiです。
このレコード、2ヶ月前ほど春先に良い状態のものを見つけて即買いしました。
Wes Mongomeryはレコード屋さんでは必ずチェックしますが人気もあるようで、なかなか良い状態のものには出会えません。仕方なくApple Musicでよく聞くプレーヤーとなっています。
このアルバムは特にThe Shadow of Your Smileが入っているので是非、欲しかった盤でありました。
この曲、60年代の映画のテーマ曲でアカデミー賞もとった名曲で多くのアーティストにカバーされています。Jazzスタンダードというよりはポップスですかね...
その曲をジャズギターの巨匠、ウエス・モンゴメリーがカバーする意外性と情感たっぷりヴォーカルのように唄うギターに感動します。ある意味ロック系のギタリストとは違う格好良さを感じます。
ウエス・モンゴメリーですが元々はビ・バップスタイルでオクターブ奏法を編み出しアルバム、フルハウスなど不朽の名作などで有名です。実際、最も多くのジャズギタリストに影響を与えたプレーヤーであるとも言われています。
大きな転換期は60年台後半、イージーリスニング路線にシフトした時期です。1967年のA Day in The Life のタイトル曲はご存知ビートルズのサージェントペッパーズに収録されている名曲(アルバムを締めくくる)であります。アルバムは総合チャートの上位に食い込み大成功を収めました。しかし、このアルバムの翌年に43歳で亡くなってしまいます。
この路線変更を当時、ウェス・モンゴメリーがどう感じていたのかは?興味深いところですがYouTubeで当時、彼がTV番組に出演している動画など見てみるとちょっとぺらぺらの記事のスーツを着て演奏しています。少しはにかんでるように見えますが...
このアルバム、The Shadow of Your Smile(日本語タイトルはいそしぎ)を始め良い曲ばかりです。紹介しますと...
Side A
1. Bumpin'
2. Tear It Down
3. A Quiet THing
4. Con Alma
Side B
1. The Shadow of Your Smile (いそしぎ)
2. Mi Cosa
3. Here's That Rainny Day
4. Musty
A1、2、B3が書き下ろしのオリジナル、彼のソングライティングの才能を感じます。ライナーノーツは本田俊夫氏、A2はサンフランシスコでJim Hallと会った時にギタリストにとって指がいかに重要か話した時の流れでできた曲だと説明されています。実に興味深い話ですね...
このアルバムの好き嫌い分かれるところとしてアルバム全編でオーケストラをバックに演奏している点だと感じます。いわゆる正統派のジャズではないので...
しかし70年代以降の正統的なジャズが衰退しソフトジャズ、フュージョンなるセグメントが台頭したことを考えるとこれもこの路線変更後のウエス・モンゴメリーの影響がもたらしたものだと思えます。
個人的には素晴らしいテクニックを持ちウエスの後継者と言われたジョージ・ベンソン、白いスーツにスキャトスタイルのヴォーカルと... もしウェスが長生きしていたらどう思ったのか興味深いです。
ウエス・モンゴメリー、ジム・ホールと並んでジャズギタリストの巨頭とでありますが良い盤あれば躊躇せずに入手したいと思います。