レコードをめぐる冒険 (Live At Sweet Basil/Jim Hall & Red Michell)
こんにちはYamataiです。
台風一過、暑くなりそうな1日ですが季節は確実に秋となりました。
このレコードは夏に買いましたがしばらく封印しておりました。理由は1回聞いてみてすぐにはピンとこなかったので時間があるときにと... ちょっと寝かしておきました。
ジム・ホールとレッド・ミッチェル(ベース)のデュオ・セッションのライブアルバムであります。80年代に創立されたジャズ専門のレーベル、アーティストハウスからリリースされたアルバムで発売元はキングレコード、2500円で当時は売られてたみたいです。新宿のDisk UnionでAランクで盤質はチリノイズが少しありますが聞いているうちに消えると思います。レコードのチリノイズは何回も聞くのが一番効果的だとどこかのサイトで読んだのですが確かに、いまのところ我が家でもその効果は確認されています)。
恐ろしく地味なジャッケット写真です...
こちらは裏ジャケットです。
レッド・ミッチェル、なかなか神がかった容貌の方であります。数々の名盤にその名が綴られているプレイヤーであります。
曲目は
Side1
1. Big Blues
なんとも耳に残る曲です。
2. Beatiful
レッド・ミッチェル作曲の美しい曲であります。
3. Walts New
Side2
1. Fly Me To The Moon この曲、ミーハーですが好きです。しかもジム・ホールとなればそれだけで買ってしまったようなもんです。
2. Blue Dove
原曲はメキシコの民謡だそうです。秋の静かな夜に聞いたら良い曲です。ポール・デスモンドもカバーしているようです。
3. Osaka Express
新幹線、最近に乗っていないのですが... ちょっとJRの在来線の喧騒を思い出させる気もしますが... ライナーノーツによるとジムのオリジナルで何度か日本にも来日している彼が日本の印象を基に作った曲だということ... それ以外のはずもないとは思いますが... 外国の方、新幹線は私の知る限り皆さん高い興味を示します。その快適な移動手段、当たり前だと思っている日本人は幸せなことなのだろうと... 話が逸れましたが思ったりします。新幹線... なんといっても曲作りするほどインスパイアされるのだからすごい... と言っていいのかもしれません。
そいえばBig Bluesはジム・ホールのオリジナルでアート・ファーマーのアルバムに参加しているアルバムでも演奏しています。しつこいようですがテーマが結構、頭にこびりついて離れないタイプの曲で徐々に惹かれていくタイプの曲です。なんか刑事ドラマに合いそうな気がします...
ライブ盤でベースとのデュオということでAlone Togetherというロン・カーターとの名作を思い起こす本作ですが比較するとなんともAlone Togetherよりさらにリラックスした雰囲気が全体に感じられます。
なかなかの佳作ぞろいであるのとギターとベースのインタープレイが映えわたる名盤だと思います。ですがこのアルバムに対してまだまだ語る域に達していないような気がします。これからもまだまだ聞き込んでいかないと本当の良さがわからないのかもしれません。
レコードをめぐる冒険 (Art Farmer/ART)
すっかり秋らしくなりましたが台風も来ているようです。
9月になった途端、秋らしく感じたりしていますが昔はこんなにはっきりと切り替わったのだろうか?今年に限ったことだと思いますが夏の記憶が希薄です。
秋の夜長ですがこんなレコードにはまっています。アート・ファーマーです。個人的にはアート・ファーマー、ジム・ホール、ポール・デスモンドとしぶいジャズアーティストが大好きであったりします。年を取っても渋くなれない自分に無い物を無意識に求めてるのかもしれません。
レコードジャケットの印象的な肖像画はErnest Fieneという方です。1894年、ドイツ生まれ1912年にアメリカに移住、16年後アメリカ市民となり世界中で個展を開催、数々の受賞歴もあるそうです。タイトルとジャケットがはまりすぎです。
アート・ファーマー、そのトランペット/フリューゲルホーンが実に力強くもあり優しく穏やかな音色であります。マイルズの先鋭的で高尚な世界にも憧れたりもしますがやはりちょっとリラックスしたい時にはアート・ファーマーの音色を聴きたくなるもんです。
この盤はちょっと前に買ったのですが確か御茶ノ水のDISK UNIONだと思います。何枚かありAランクのもので帯なしのものを選びました。このレーコードその時は何故か良い状態のものが数枚ありました。何故でしょうか?やや埃がかっていますが音質に問題なしです。
楽曲は...
Side1
So Beats My Heart For You
Goodbye Old Girl
Who Cares
Out Of The Past
Side2
Youngther Than Springtime
The Best Thing For You Is Me
I'm A Fool To Want You
The Old Devil Called Love
スタンダード曲集と言ってもいい選曲がたまりません。トミー・フラナガンのピアノが素晴らしくファーマー自身も絶賛しています。これはジャッケットの裏側のライナーノートに記載されています。自分のホーンに対するアプローチと似ていてリフレクティブで明快だと評しています。
頑張って英語を読んでいると日本語のライナーノートがあることに気づきました...
1960年9月21、22、23日にニューヨークで録音されたと記載されています。なるほど今の季節に合っているわけだと勝手に合点しています。
マイルズの奏でるバラードが少し気高く隙がないニュアンスに関してファーマーが奏でるバラード曲、特にこのアルバムでの音色は実に柔和で穏やかでありながらも聞き飽きない魅力があります。
私のオススメはこちら...
秋といえば恋の季節... ちょっとメローな秋の夜長にこのアルバム良いかと...
恋していなくともそんな気分なさせてくれる名アルバムです!
レコードをめぐる冒険 (Gary Burton/Someting's Coming!)
こんにちはYamataiです。
昨日から薄暗い曇り続きでパッとしません。
湿度もたっぷりで困ったものです。
今日ご紹介のレコードは先月、やはり新宿のディスク・ユニオンで見つけたゲリー・バートンのSomething's Coming!. ヴィブラフォン奏者で有名な方です。なんと今年、ジャズピアニストの小曽根真さんとファイナルコンサートを行い引退されたようです。74歳ですからまだ若い気もしますが... 小曽根さんは30年以上共演していて、そもそもはゲリー・バートンに認められキャリアをスタートしたそうです。
盤質はAランク、音に全く問題なしです。
曲目紹介:
Side 1
1. On Green Dolphin Street
2. Melanie
3. Careful
4. Six Improvisatory Sketches
Side 2
1. Someing's Coming
2. Little Girl Blue
3. Summertime
レコードはシミが点在していてちょっと歴史を感じます。オリジナルは1963年、リリースされ購入したものは79年の再販盤と思われます。
実は美しいヴィブラフォンを聞きたかったわけではなくギターがなんとジム・ホールということで買いました。この盤、ジム・ホールの棚をペラペラ閲覧していて見つけて買ってみたものです。こういう出会いもあるものです。ゲリー・バートンの棚に本来ならあるはずだと思いますが...
しかし63年あたり、その時期のジム・ホールは名盤、ビル・エヴァンスと"Undercurrent"をリリースした直後です。当時32歳、絶好調といえる時期かと思いますが新人であったゲリー・バートンはジムが本当に共演してくれるとは思わなかったそうです。
ジム・ホールは後にアート・ファーマー、ポール・デスモンド等々多くのアーティストと共演するのですが本作でも例に違わず味わい深いプレイを堪能できます。
この組み合わせ存外に違和感なくヴィブラフォンの背後でも絶妙なバッキング、ベースのチャック・イスラエル、ドラムのラリー・バンカーも冴え渡っています。
楽器こそ違いますがビル・エヴァンスを思わせます。ジム・ホールのゲリーとの間合いがそう感じさせるのか???
ヴィブラフォン、どちらかというとマイナーな気がしていましたがこのアルバムではピアノと遜色なく、ジャズという音楽の中で存在感を発揮出来る楽器なのだと理解できました。しかし今後、ゲリー・バートンのアルバムを買いますかはちょっとなんとも言えませんが....
レコードをめぐる冒険 (A Night At The Vanguard/The Kenny Burrell Trio)
こんにちはYamataiです。
今年の夏もあっけなく終わってしまったようですが... 9月にもなるとこんなに涼しいものでしょうか?ここ数日、短パンも履かなくなりました。秋というと少しメローな気分になるものですが、これからのそんな季節にお勧めの一枚がこちらです。
夏の始まりの季節に新宿のディスクユニオンで見つけました。Kenny Burrellなかなか良い盤に巡り合わなかったのですがようやく出会いました。盤質はAでした。家で聞いてもノイズがほぼない状態です。ケニー・バレルですが本人はチャーリー・クリスチャンの影響受けたと語るようにいわゆるジャズギターの正統派でありますがブルーズのテイストと取り入れ白人のギタリストの音色とはまた違った魅力があります。ちなみに日本通で奥様も日本人の方のようです。ヴィーカルにも定評があり、わりと素直に歌い上げるスタイルで嫌いではありませんがギターほど印象に残るかと言われると難しいかもしれませんが...
こちらからはご試聴いただけます。
曲目は...
スイングジャーナルが推薦するアルバムということで"五ッ星コレクション"、カタカタのツが小文字なのが当時の?だったのでしょうか?それはともかく
Side 1
1. All Night Long
2. Will You Still Be Mine
3. I'm A Fool To Want You
4. Trio
Side 2
1. Broadway
2. Soft Winds
3. Just A Sittin' and A Rockin'
4. Well, You Needn't
秋の夜長にI'm A Fool To Want Youが堪りませんが全体にわたりライブならではのリラックスしながらもスリリングなインタープレイを満喫できる好アルバムであります。聞き流すことでは断じてこのアルバムの魅力を理解できません。やはり家で聴く際もスピーカの前でリラックスしながらちゃんと聞いた方がより魅力の分かるアルバムです。矛盾しているようですがつまりはライブハウスで聴いてるかのごとく聞いてみるのがオススメです。こんなことを言っているとライブに行きたくなりますが...
デューク・エリントン、オスカー・ピーターソン等で有名なJust A Sittin' and A Rockin'も穏やかにテーマを奏でながら徐々にファンキーなニュアンスも加わり珠玉のギタートリオによるカバーとなっています。こんな風にギターを弾ければ歌わなくても良いなと... 変な納得をしたりもします。
最後のWell, You Needn't はセロニアル・モンクがオリジナルの有名な曲ですがギタートリオのカバーとして隙のないインタープレイが中々の好演であります。これが1959年の9月16、17日のヴィレッジ・ヴァンガードでの録音ということで60年近く前にこんなすごいライブを聞けたのかと思うともっと早く生まれたかった...
しかし例えば30年早く生まれてJazz全盛期を生で体験できていたらどうであっただろうか?できれば裕福で20歳くらいで遊学してニューヨークでライブ三昧などできていれば...
そんな夢想すら誘発されるライブ・アルバムであります。実は買ってしばらく聞いていなかったのですがここ最近、涼しくなった夜に何回も針を落としています。
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レコードをめぐる冒険 (Pithecanthropus Erectus/Charles Mingus Jazz Workshop)
こんにちはYamataiです。
8月最後となりました。
夏の終わりに相応しい曲とも思いましたがなんとなく感傷に浸っている感じでもないので最近、購入して日に3回は聴いているレコード紹介します。Pure Desmondを買った時に一緒にディスクユニオンで発見、盤質はAでジャケットはやや黄ばんでいますが音質はクリアです。推測ですがあまり聞かれなかったのかもしれません。噂通り難解です。チャールズ・ミンガス、ベースプレーヤーですが、むしろコンポーザーとして捉えた方が的確なのかもしれません。ジャズではアドリブが曲のニュアンスと無関係であったりする矛盾を必ず含む、ある意味自由な即興をベースにしていることに対して彼なりのアプローチを確立することに腐心した方であります。
曲目は...
Side 1
1. Pithecanthroptus Erectus
2. A Foggy Day
Side 2
1. Profile of Jackie
2. Love Chant
音楽性を模索する中で自身の作品を完全な表現に近づけるためにバンド(ワークショップ(ミンガス道場)と呼んだ方がいいのかもしれません)のメンバーをかなりユニークなアプローチで教育的に指導したそうです。作品が出来上がると譜面は使用せず彼がピアノを弾き(ピアノもかなり上手だったようです)メンバーに聴かせイメージをスケッチした紙を渡し曲のリン買う、解釈、フィーリングを説明し理解してもらう、使用するコードやスケールを教えた後、アンサンブル、ソロパートを実際にメンバーに演奏させる。当然、メンバーにはかなりの理解力が求められ、このミンガス道場を巣立ったプレーヤーはメジャーになった人ばかりのようです。
気性が激しくメンバーにも暴力を振るったエピソードなど事欠かせません。アルバムが発表された1956年、ハード・バップが主流であった時代にかなり前衛的な作品であったのは確かだと思います。
正直、聞いていて和む、癒されるといった類の作品ではありません。Side1の2曲目、ジョージ・ガーシュインの有名なスタンダード、A Foggy Day なども原型をとどめておらずテーマが遠くにようやく聞こえる程度... 最初はどう理解して良いのか驚きました。
なんか中学生の時に背伸びしてキングクリムゾンのアルバムを買った時の困惑が思い出されますが...
ようやく少し理解できたのはジャケットの裏にある彼自身の解説がありそれを拙い理解力で紐解くとなるほどと思わせる内容でありました。例えばA Foggy Dayはサブタイトルは"A Foggy Day in San Francisco"。彼自身、霧で有名なロンドンには行ったこともなく、この曲はサンフランシスコのフェリー乗り場に向かうまでの霧の深い日の車のクラクション、警報の音、酔いを引きずった翌朝の気だるさこれらを彼が感じたままに音楽的に表現していると語っています。なるほどそう言われると納得、そんな情景が浮かんでくるではないですか...
有名な"直立猿人"(Pithecanthropus Erectus)は現代人が猿から直立するまでの進化を音楽的に表現している。第1章から進化、優越感、衰退、滅亡... そこに最初に直立した人間が支配を目論むを挫折、滅亡するといった実は現代人に対しての隠喩的な警告がかったメッセージも感じられる大作なんだと思ったり、ジャングル雰囲気、猿人の咆哮がリアルに感じ取れます。
チャールズ・ミンガス、彼のプライドの高さ、気高さを伝えるエピソードとしてライブで音楽を聴いていない客に対して激昂し罵ったというエピソードが数あるありますが、やはり彼の音楽の本質、ちょっとやそっとでは理解できないのもわかる気がしますしライブをたまたま聞きに行った人はちょっと... ある程度の理解と情報がないと...
そういった意味でこのアルバム、初心者は要注意だと思います。また聞こうと思った時はちょっとした覚悟がいるかもしれません。今後ミンガスさんのレコードを収集するか?今のところはしばらくはいいかなぁと正直思っています。
レコードをめぐる冒険 (Standard Coltrane/John Coltrane)
ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスからJAZZの魅力を知ったのは20年くらい前です。マイルズも加えてやはりビックネームの作品は今でも聞きます。しかしながらあまりあれこれ語るには気後れするというのが正直な所...
また彼らの作品、膨大にありまだまだ聞いていない作品も多かったりしますがコンプリートする意欲もさほどなく"そのうちに"と... ずいぶん不義理にもしております。
さてこのStandard Coltraneですがタイトルにあるような聞き慣れたスタンダード曲が10曲くらい、各3−4分くらいの聞きやすいスタンダード集だと思っていたら大間違いでいた。曲目は...
Side A
Don't Take Your Love From Me
I'll Get By
Side B
Spring Is Here
Invitation
たったの4曲、1曲でワンコインとちょっと...
ジャケットもローコストに抑えてないですかね...
参加メンバーは当時のマイルズのバックを務めたいたレッド・ガーランド、ポール・チェンバー、そしてJimmy Cobbがドラム、トランペット・フリューゲルホーンがウィルバー・ハーデンです。全体を通してコルトレーンを引き立てています。
このアルバム、Spring Is Hereを聞きたくて買ったようなもので以前のブログでも紹介しましたが... またこのレコード中古ではなく新品でアマゾンさんから購入、かなりの大枚をはたいてしましました。
そのSpring Is Hereテーマはそこそこに結構、激しいアドリブの応酬でバップなノリで大いに私の勝手な期待を裏切ってくれています。しかしこのころ(1958年)のコルトレーン、まだ荒削りでありますがある意味、抑揚のきいた取っつきやすいのも事実かもしれません。
このアルバムの中ではDon't Take Yuor Love From Meとスタンダードでもないと思える曲ですが... これが一番好きだったりします。最後のConfirmationも深い陰影を醸し出すむせび泣く様な音色が聞けますがやや冗長な気もします。
このアルバム、改めてタイトルに偽りありと感じますが一般的に評される絶頂期の手前の "シーツ・オブ・サウンド”を押し出す前の聴き手にとっては聞きやすいコルトレーンを堪能することができることに意義を感じています。残念なのは一曲一曲が長い... 多分コルトレーンという人、真面目なのでしょう... 全盛期の神格化された時代の作品はかなり難解な部分もあり、そこはかなり好き嫌いが分かれるところかもしれません...
皮肉なことに名盤、"Ballad"が人気なのはやはりそのテクニックではなく歌うコルトレーンが分かりやすく多くの人々の心を捉えたといことではないかと思ったりします。この"Ballad"と同じく58年にリリースされた"Soul Trane"はかなり聴き込みました。
おそらくはここら辺のコルトレーンが個人的には丁度良い塩梅なのかもしれません... ちょっとアドレナリンをあげて神の域に到達したコルトレーンにもチャレンジしたい気持ちもありますが... いつになるかは???
Jazz評論をされる方が有名プレーヤーを会社員で言えば... みたいな本がありましたが...
おそらくコルトレーンは上司にも部下にも持ちたくないタイプかもしれません。個人的にはマイルズみたいな上司とアート・ファーマーみたいな先輩が欲しいですかね...
レコードをめぐる冒険( 番外編)夏の終わりに聴きたいこの一曲 (Black Summer Rain/Eric Clapton)
ランキングに参加していますが結果が全く出てません。よろしければご協力を!
こんにちはYamataiです。
久しぶりのクラプトンを聞いたりしています。曲は夏の終わりに相応しい"Black Summer Rain"です。夏の終わりを示唆している曲ではないのですが夏の終わりになるとなんとなくどこからか聞こえるような気がします。
特にレコードに再び針を落とすことになった今年、このレコード"No Reason to Cry"も30年以上ぶりに聞いています。ジャッケットを見るとドラッグから脱しながらも代わりと言っていいのかわかりませんがアルコールにどっぷりはまった時代のクラプトンを象徴しています。バドワイザーからジムビームのかなり飲んだと思われる瓶が手前のテーブルには置かれています。控え室(写真の上部にある看板にShangliaとありますがロスアンゼルス郊外にあるShanglia Studioというスタジオのようです)で撮影されたようです。背後の鏡に少し疲れた丸い背中が映し出され...
アルバムはボブ・ディラン、ロビー・ロバートソン、ビリー・プレストン、ロン・ウッド、リックダンゴと豪華な参加メンバーと当時レギュラーでバックを務めるカール・レイドル、ジョージ・テリー、イヴォンヌ・エリマンらとセッション仕立ての100%リラックスしきったアルバムです。
正直このアルバム特段、シングルカットされたヒット曲もなく通常のスタジオアルバムに見られる真剣とは明らかにニュアンスが異なります、当時(中学生時代)内容はあまり好きでなかった記憶があります。しかしながら不思議と"Black Summer Rain"だけは耳について残っています。
曲目を紹介します:
Side A
1. Beautiful Thing
2. Carnival
3. Sign Language
4. County Jail
5. All Our Past Time
Side B
1. Hello Old Friend
2. Double Trouble
3. Innocent Time
4. Hungry
5. Black Summer Rain
A3のボブ・ディランの曲、ザ・バンドのメンバー、A1はリック・ダンゴ、リチャード・マニュエルの楽曲、B3はイヴォンヌがメインのヴォーカルInnocent Timeと意欲的な試みの見られながらもどこか呑気でリラックスしたクラプトン流カントリーロック的な雰囲気が全体に満ち溢れています。正直、当時はクラプトンでもクリームやデレク&ドミノーズあたりが好きだった私は困惑したものです。
クラプトンのおちゃらけぶりが見られる珍しいライナーノーツの写真であります。さすがにディランはこの時はいなかったんでしょうか写真の中に見当たりません。
このアルバムの翌年リリースされたのが商業的に大成功した"Slowhand"であることを考えるとレコード会社から次は頼むぞとかなり圧力をかけられたのかもしれないなどと勘ぐりたくなります。
さてさて今回の本題は"Black Summer Rain"ですがお馴染みのストラトキャスターの音色とロビー・ロバートソンのピッキング・ハーモニクス(ピックの先端で弾いて高音のピキーントした音です)がなんとも心にしみる名曲です。夏の終わりのメローな気分に浸りたい向きにはバッチリだと思うのですがいかがでしょうか?
歌詞として"黒い夏の雨"をどう解釈して良いのか?手がかりがあまりなく深読みするとかなり詩的なニュアンスを感じたりもしますが...
かつては陽も降り注いでいたけれど...
陽はどこに行ったのだろうか?
ただの記憶違いなのか?窓越しに輝き始めそうなその陽は過ぎ去って
(略)
愛はどこだろう?
自由になるための愛は?
鬱な気分.. どう抜け出せば良いのだろうか...
なんか暗い歌詞であります。この当時、パティ・ボイドとの念願の恋が成就した時期だと思われるのですがなんでこんな曲を作ったのか?いや昔、横恋慕している当時作った曲なのでしょうか... 決定的にわからないのがなぜ雨が黒いのか... 憂鬱な気分を示唆しているのか... ちょっと晴れない夏、今年の前半のような夏のような天気でリゾート地に来ていながら外にも出れない気分なのか(まさかですが...)。
ちょっと失望感すら残ったアルバムでしたが当時このアルバムは2500円、ソロ以降前作のThere's One Every Cloudまでは1500円で売り出されていたのでそれも少し恨めしく思った原因だったのかもしれません。
もう一点、アルバムタイトルの"No Reason to Cry”、このタイトルがかっこいいと思いてっきり楽曲もあるのだと勝手に信じていながらなかったことが???でした。
このアルバム、クラプトンファンの間でも評価の分かれるアルバムですが正直、今、アルバム全体を聞き流してみるとこれはこれでありだと思えてきます。不思議なものです。むしろこの後リリースされる"Slow Hand"や"Backless"の方がちょっと商業的なクラプトンが造成しはじめられたのだと感じてしまうから不思議であります。
さらに凝視するとクリーム以降のクラプトンが憧憬し目指したアメリカ南部の世界のある意味で集大成的なアルバムなのだと解釈できるような気がします。セッション的なノリの延長で作られたと思わせながら実はそうではなかったり... クラプトンがそこまで戦略的とは思えませんが時が過ぎた今、俯瞰してみるとこのアルバムが意外や重要なターニングポイントである気がしてなりません。
いやいや前言撤回、30年越しに好きになりました。同窓会で昔は全く疎遠だった実はものすごく魅力的な人に会ってしまったみたいな痛痒い気分ですかね。